画用紙に絵を描くのは嫌いじゃなかった。
むしろ、そこらじゅうに落書きするような子どもだった。
それが変わったのは小学校二年生の夏休み明け。
夏休みの課題の絵がうまくかけなくて、
提出しないつもりで放っておいたら
見かねた母親が代わりに描いた。
それがなかなかいいデキだったので、鼻高々で提出した。
そしたらそれが、表彰されちゃって。
市の展覧会に出展されることになった。
それ以来、絵は僕のタブーになった。
クラスで絵の提出をするように言われても、
授業をサボり、理由をつけて一切出さなかった。
だから絵の提出が必要な学期の
図工や美術の通知表はいつも「1」か「2」で。
それから数年。
あの時以来、はじめて絵を描いてみたくなった。
手元のノートに、ボールペンでサラサラと描きはじめた。
相変わらずヘタクソなのは変わってないので
アップロードするのはやっぱり気後れするけれど、
意外にも、絵を描いている数十分間は楽しかった。
どんなヘタでも、自分の絵を描いているときは楽しい。
それが売れたり評価されたりするわけじゃないとしても、
その楽しさは、次なる絵を描こうという原動力になる。
ヘタクソだって、自分の絵を描いたらいいと思うんだ。
人生というキャンバスの余白が、そこに残されているかぎり。
一人ひとりが、それぞれの絵を描く。
巧いのもヘタなのも関係なく
並べられたその絵を見て、自分も絵を描きたくなる。
そんな、ちょっと変わった美術館があったら
おもしろくないですか。
なんてことを思いながら描いてみた
「道伴舎空間の概念図」。
卒パ、スタッフの砂川の第一回インタビューが上がりました。
この結末から、受験の話までつながるので、お楽しみに。