2012/07/24

問う力


漠然と「もっと勉強を頑張りたい」と言っていても
それが実現するということは、あまりない。
でも目の前にある壁を乗り越えるための方法を
具体的な問いとして塾生が自分の口から発する時、
僕らは「お、けっこういい感じできてるな」と思う。
なぜなら、そこまで到達することができれば
彼らは遅かれ早かれその壁を乗り越えていくから。

大切なのは答えを見出すことよりもむしろ、
いま自分にとって何が問題なのかを考えだす力。
僕らを答えに導くのは暗記力や解答力ではなく
「問う力」ともいうべき力なのではないかと思う。

これは受験だけに限った話ではなくて、
たとえば自分の人生において
「ほんとうに大切なことはなんだろう?」
と問いかけ続けることができるのであれば、
いつか解答にたどりつけるのだと思う。
そのために、どこかにある答えを求めるのではなく、
自分の力で世界から「問い」を切り出すということ。
これは学校では教えてくれない大切なことのひとつだ。

僕らが生きるこの世界においては
問題の立て方のバリエーションは実に無限にある。
たとえば、クオリアの究明を続ける脳科学者。
21世紀の国家や共同体の理想形を考える哲学者。
ビジネスを通じた貧困の解決を目指す経営者。
それぞれ、自分で自分の問題を立て、
その解決のために生涯を捧げようとしている。
ただ、問いは自分一人で完結する必要はない。

たとえば松下幸之助が「水道哲学」を語った時には
250年スパンで解決できればいいだろうという覚悟で
自分が死んだ後にも受け継がれる問いを立てた。
学問や科学の世界もまた、ひとつの問いの答えが
次の問いを作りだすという連鎖の構造を持っている。

この世界には問題が無限に潜在しているけれど、
その多くは言葉にして発されることのないまま
解決される時をただじっと静かに待っている。
でも、それを問題として切り取ることができれば、
自分だけではなく、そして世代を超えてすら、
その問題を解決に向かわせることができる。

空間的にも時間的にも無限に等しいこの世界から、
さて、あなたはどんな問題を切り取りますか?