2013/01/17

怖くないなら勇気じゃない。


今週末はいよいよセンター試験。
だからといって、
僕らがいつもと違ったことをするわけではない。
いつも通りの指導を、いつもと変わらず続けるのみ。
でも、それが実はとても難しい。
それは当の受験生が誰よりも痛感している。
受験生と向き合う指導スタッフも同じことだ。
いつも通りを装おうと試みても、
不安を感じたり、焦ったりして、
いつも通りにできなくなる。

「リングに上がったなら、絶対に勝つ」に書いた、
三年越しでプロボクサーのデビュー戦に臨んだ友人から
こんな話を聞いた。
試合前は不思議なくらい緊張しなかった。
でも100人近い友人が
応援に駆けつけてくれた直前になって
「負けたらどうしよう」という不安を抱いた。
小さな染みのように生じた不安は、
瞬く間に心の隅々まで広がった。

「負けたらどうしよう」という恐怖からガチガチになり、
彼の言葉を借りれば「力んで無様なパンチ」しか繰り出せず、
防戦一方の展開になった。
客観的に見れば、勝ち目はないように見えた。
でも、そこから彼は決死の覚悟で反撃に出た。
防戦一方の流れが一転し、会場は沸いた。
彼が見せてくれたニコ生の動画でも、
この場面の字幕は盛り上がっていた。

どんな気持ちだったのか、と僕は尋ねた。
反撃に出る時は怖くなかったのか、と。
もちろん、と彼は言った。もちろん、怖かった。
でも、前に進まければ勝つことはできない。
怖いからこそ一歩出るのが勇気。
怖くないなら、勇気じゃない。
まぁ・・・負けた奴が偉そうに言うことじゃないですけどね。
そう言って屈託なく笑う彼に、
リングに上がって本気で戦った男の姿を見た。

センター試験の当日だって、
思いもよらぬ形で恐怖が襲ってくることはあるだろう。
僕だって、指導をしていて、塾を経営していて、
あるいは、生きている様々な場面で恐怖を感じる。
でも、その怖さは生きていれば誰だって感じるものだ。
誰もがそれを言葉にするわけじゃない。
文章にするわけじゃない。
でも、きっと、すべての人はそれぞれのリングで、
それぞれの恐怖と戦っている。

怖いからこそ一歩出るのが勇気。
怖くないなら勇気じゃない。

勇気を持つこと。
少年マンガでその大切さが繰り返し描かれるのは、
それが、生きる上で本当に大事なことだからなのだろう。
二十代も終わりに近づいた最近ようやく、
この言葉の重みを僕は理解しはじめている。
負けそうな時。挫けそうな時。
そんな時にこそ、一歩踏み出すために勇気がいる。
生きる上で勇気が大切なことだとすれば、
僕らは恐怖を感じた時にはじめて、
真に生きることのリアリティを掴み取るのかもしれない。

受験生を想定して書きはじめたけれど、
この欄は、もう受験生たちはさほど見ていないと思う。
数日前となった今、
いまさらセンター試験へ向けた特効薬はないし、
そんなことをするつもりもない。
だったらなぜこんな文章を書きはじめたのかを考えて、
塾生にではなく、自分自身に
問いかけたかったからなのかもしれないと気がついた。
馬場祐平よ。
お前は恐怖と対峙し、勇気を振り絞って生きているか、と。

僕は、まだ十分な答えを持っていない。
受験生たちの真剣さを見て、
スタッフの本気さに胸打たれて、
彼らほど僕は一秒一秒を真剣に生きているだろうかと
自問自答を繰り返す日々。
その一方で、
僕も僕なりに一歩を踏み出してきたという自負もある。
たとえ「力んで無様なパンチ」でも、
勇気を持って繰り出すことでしか切り拓けない道がある。
そんな生き様でしか伝えられないものがあると信じて、
今までやってきた。
その証を、ここに刻み付けるように書き残したかった、
・・・のかもしれません。

三月上旬に道伴舎のウェブサイトは
大幅にリニューアルされる予定です。
ウェブサイトだけでなく、会社や塾や指導も
ブラッシュアップされたものを発表できると思います。
既にその準備を進めているので、
僕がここにこうして書くのは、おそらくあと何回か。
そこまで、不定期の更新になりますが、
もうしばらくお付き合いください。
いつも読みに来てくれて、どうもありがとう。

「#ff4500」はセンター直前号。
  こちらはぜひ受験生に読んでほしい!
◎塾生体験記、四人目が更新されています。
  「弱みも一つの財産だとしたら」
  襟を正して生きなきゃな、と僕は思いました。
  受験生だった彼を思い出して泣きそうになった。
『学欲』の感想を継続的にもらっています。
  読んでも自慢にならないのに、わりと長い電子書籍で、
  決して読みやすいとは言えないこの文章を、
  読み通してくれる人がいること、この上なくありがたい。
◎ミーティングの合間、外を眺めると一面の雪景色。
  はしゃいで外に飛び出した沖縄出身の照屋が
  皆の身代わりのように豪快な「スベり」を見せてくれ、
  一階のガレージに頭から突っ込んでました。さすが。